オカリナの息の強さとは

 

オカリナは、吹けば鳴る楽器。

しかし、音程を正しく吹くのは、吹奏楽器経験者でも、最初は難しい面があり、その難しさの要因の一つに吹き込む息の強さによって、音程がかなり上下するということがある。 

 そういう、ある特定のオカリナについて演奏上の観点から各音高における「息の強さ」を考えるという場合がある。

 また、オカリナは、とても人に優しい楽器であり、同じ調のオカリナでも、色々な息の強さのものが、各工房やメーカーで作られ販売されている。高齢者などは、息の弱めのオカリナを選ぶ場合が多い。そのようなオカリナの選定上で出てくるオカリナの「息の強さ」を考える場合がある。

 そもそも、オカリナにおいて、「息の強さ」とはどういうことなのか。

 当工房では オカリナに吹き込む時の、吹き込む直前にかかる空気(息)の圧力(Kps)と、オカリナに流れ込む空気の量〜流量(L/分)の二つのデータを測定、記録し、製作販売の際の参考にしている。

 オカリナで音階を吹く時、高音域にいくにしがって、次第に圧力も流量も高くなっていくのが自然である。また、そのように調律するようにしている。

 圧力、流量が高くなれば、必然的に歌口を流れる流速も上がり周波数が上がる要因だ。

 このことは、リコーダーでは歌口開口部の空気の進行方向の長さと流速の関係で表せられるそう(「流体音工学入門〜豊かな音環境を求めて」丸太芳幸、望月 修 著朝倉書店のP26にリコーダーの自励振動の式で振動数がf=nU/LとなりU〜流速、n〜整数、L〜歌口開口部の空気の進行方向の長さ)で表される…オカリナでの文献を見つけられないでいるが、流速が上がると周波数が上がるのは間違いない。ただ、このリコーダーの式ではLに反比例して振動数が下がることになるが、オカリナはリコーダーと違ってLが大きくなると開口部面積が大きくなるので、ヘルムホルツ共鳴の式と矛盾が起きてしまうのでどうなのか? 

 

 わからないが、ただ、流速が速くなると周波数が上がる。それは経験上確かだ。

 そして、その振動数は、オカリナの大きさに支配されている。オカリナはツボ状楽器と言われ、基本的にヘルムホルツ共鳴という共鳴の仕方をしている。フルートなどの気柱共鳴とは異なり、指穴の位置には左右されない。

 オカリナの振動数はその内容積に反比例し、歌口と指穴の開口部の面積の総和に比例、開口部の高さの総和に反比例しているのは製作上、経験していることであり、これはヘルムホルツ共鳴の式からも明らか。

 そしてこれは 振動数、音高に関わるオカリナの内部的要因。

​ それに対して外部的要因がオカリナに息を吹き込む際の圧力と流量だ。これが大きくなると、流速が速くなり振動数、音高が上がる。

 オカリナの振動数に関わる内部的な要因と外部的な要因のバランスで、その時、奏者が一定の息を吹き込んで出す音高が決まってくると思われる。

 問題はその際の、奏者の感じる吹奏感がどのようなものか、だ。

 当工房で測定している吹き込む息の圧力(kPs)と、流量(L /M~分)。

 半音を含むすべての音高について測定しているが、自然な調律をすると、音高が上がるにつれて、圧力、流量、どちらの数値も高くなる。

 例えば、同じ調の二つのオカリナの中音域のソの音高を出す場合の息の強さを比べる際、この圧力と流量で考えると、もし、①同じ圧力であれば、流量が大きい(吹き込んでしまう空気の量が多い)ものの方が、息が弱い(抵抗感が少ない)と感じる。

 また、もし、②流量が同じ(吹き込む空気の量が同じ)で、一方の圧力が高い場合、息が強い(抵抗感が強い)と感じる。

 この抵抗感は①②の関わりから考えると、圧力に比例し、流量に反比例していると言える。

 当工房で測定値をExcelに打ち込んで記録しているが、この抵抗感を、各音高において圧力/流量で記録し、音高間で比較して参考にしている。

 各音高における圧力、流量は、基本的に音高が上がるに従って数値も大きくなるのだが、時に不思議なことに、半音上げた際の数値の変化で、流量の数値は大きくなるが、圧力数値は変わらないこともある。また、その逆もある。

 理由は判然としないが、吹き込む空気のエネルギーが音のエネルギーに変わる際に、そのオカリナの内部形状により、内部の共鳴の仕方などに何か影響を与え、そのような結果になっているのであろうか?

 

 実際に吹いて調律している際に感じる息の強さは、それぞれの圧力や流量の数値の変化よりも、圧力を流量で割った抵抗感の数値の変化の方に近いと感じることが時々

ある。

 今、オカリナの息の強さについて、思うのは、息の圧力、流量、抵抗感以外にも、吹奏感に関わる要因があるなあ、ということである。

 それは、音の鳴り具合。同じ圧力、流量抵抗感でも、よく鳴っている場合とそんなに鳴っていない場合では、感じ方が異なるということである。その辺を客観的測定、記録する方法はないだろうか。

 そして、それは、同じ圧力、流量、抵抗感の数値であっても、異なる調の管では感じ方が異なることとも関係しているのかも知れない。

​ おそらく、空気の流れのエネルギーが音のエネルギーに変換される時の効率みたいなものだと思うが、そのあたりのことを考える方途を模索していきたいと思うこの頃である。